三重県
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<多気町丹生>オンライン記事アクション「「ほんわかあったかいもん」を紡いでいる、お豆と用水の村・丹生(にゅう)」(Vol.3)
2021/1/10
首都圏在住の三重県との関わりを持ちたい方で構成された『東京スクエア』 メンバーと、三重県在住の先輩移住者や地域で活動する人たちで構成された『三重スクエア』メンバーとの交流と関係づくりを目的とした、三重暮らし魅力発信サポーターズスクエア事業。
三重県への移住を考えている人だけでなく、三重県との関わりを持ちたい方、「東京スクエア」に加わりませんか?
興味がある方は「ええとこやんか三重 移住相談センター」にご連絡ください!
さて今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響から東京スクエアと三重スクエアが直接会って交流を深めることはできませんでしたが、オンラインを活用して地域の方と交流し、その魅力を記事にする「ローカル記事アクション」を実施しました。
「ローカル記事アクション」の舞台は、三重県のほぼ中央部に位置する内陸の農村である多気町丹生(にう)地区。古くから寺院の門前町として、また街道沿いの宿場町として栄えてきました。今でも古い屋敷や昔ながら田園風景が残っています。
今、この地域には都市部から移住者が増えており、古民家を活用したお店の経営など新しい風が吹き始めています。
このイベントに参加者は、現在の仕事や住まい、経歴も様々。
三重県に住んでいないからこそ見つけた多気町丹生の魅力をぜひ感じてみてください。
「ほんわかあったかいもん」を紡いでいる、お豆と用水の村・丹生(にゅう)~こんな村で子育ていいな~
●よそもんが喜ぶ「村のふつう」をつなぐ・「まめや」さん
「“生きとってよかったあ~!幸せになるご飯やわ~“て喜んでもらえるんです」と話されるのは、「まめや」代表の北川さん。
そんな幸せなご飯が食べられるなんてどんなところなの?と興味津々、お話を伺いました。
丹生は、三重県の伊勢と松阪に近い山間にある地域です。
まめやさんはその丹生の村で採れた豆類を中心に、地元の食材で昔ながらのなつかしい食事ができる農家レストラン、惣菜や野菜なども販売しています。最近流行りの農家レストランかなと思っていたら、、、他とは違う秘密がありました。
農村の文化をつないでいきたいけど、もっと村の若い人たちと一緒にやりたいたい、との想いで、自分たちで出資して16年前に開業されたと北川さん。今では20代から80代の様々な年齢層の35名の人たちが、70代、80代の「お師匠さん」に手ほどきを受けつつ、お豆腐や飛竜頭づくりから、なつかしい普段のお惣菜を作っているそうです。
子どもの頃、花見の時期におじいちゃんに作ってもらった田楽。夏に川で釣った鮎で作った鮎飯。
ずっと忘れていた昔の味を提供したら、他所から来た人たちにものすごく喜ばれて、「田んぼの真ん中でそんな普通のもん、誰が食べるん」と遠巻きに見ていた地域の人たちが、少しずつ変わってきたとか。
「同じ惣菜を作っても、地域の“お師匠さん”たちが作る味は、どこか違う。どこかまろやかっていうか。心が落ち着くっていうか。食べた人が、“ああ、生きとってよかった~!”って言わはったんです。」と北川さん。
“お師匠さん達”にとっては“ふつう”のことでも、地域の暮らしにとっては貴重なワザ。
まめやさんでは、一緒に働く若い人たちに日々受け継がれていくことが素敵です。
また北川さんたちは、子どもたちも巻き込んでいます。
つくしを摘んでまめやさんに持っていけば、一袋2~3000円で、その場でキャッシュ払い。その後、「つくしだけじゃなくて、よもぎもあるやんか、イタドリもあるやんかと売りに来る、子どもたちすごいんですよ」と。
目の前の自然に当たり前になる「ただの草」が、よその人にはものすごく喜んでもらえるという体験。自分たちはとっても豊かなところに暮らしているという、温かい心が生まれます。
お米や野菜を作って、そのお野菜で料理も作って、一緒に売って、一緒に食べる。まるで村全体がゆるやか~な家族みたいに感じます。
「この村の子ども達に故郷の思い出を焼き付けてあげたい。村を離れて大人になって辛いことがあっても、こういう思い出、心の中に”ふんわかあったかいもん”があると、きっと強く生きていけるんちゃうかなと思うから。」
北川さんの言葉が、ずーっと心に響いています。
●こんな豊かな丹生を支えているのは・・・昔と今がつながる手掘りの用水?
「江戸時代の末ごろ、痩せた土地をなんとかせないかんと、西村彦左衛門という人が尽力して水路を引き豊かな農村になったわけ。またこの用水は素掘りと言って、手で掘って作られたんですよ」と、地域の語り部・中西さん。
水銀のたぬき堀? トンネルのボート下り? なんでしょう。探検してみました。
丹生は歴史ある神宮寺や水銀の産地としても有名な、和歌山別街道の歴史ある宿場町。
小さな地域にも関わらず、のどかな農村風景の中に、古い歴史が詰まっていて驚きます。
昔の面影が残る町並みにかつての屋号の看板も。ちょっとタイムスリップしたような気分です。
そして地域のあちこちに水路が。昔はここで野菜を洗ったり、洗濯をしたり。
鮒やメダカなど、生き物もたくさんいたよと中西さん。
地域のはずれに用水の素掘りのトンネルがありました。
「岩一升、米一升」。岩を一升掘れば、貴重な米を一升もらえたと言われたほどの、とても苦難の工事だったとか。トンネルをくぐる用水ボート下り。地元でも人気だそうでかなり面白そうです。
今は農業用水以外にも発電や防災、環境学習と、今も地域の暮らしにも大活躍。
立梅用水開祖、西村彦左衛門さんの生家は、「ふるさと家」として往時の暮らしに触れられます。お隣は素敵な古民家の金川珈琲さん。元は呉服屋さんで、その呉服屋さんも儲けを地域の人たちのため差し出して、地域を支えてきたとか。丹生には今もこうした「利他の心」がおだやか~にと伝わっているだなあと感じました。
最後に中西さんに聞いてみました。
移住された人に対して、地域の人たちはどんな感じなんでしょうか。
「全体ではちょっとわからんけど、少なくとも我々はもちろん Welcomeですわ。その人たちには感謝しかないんです。」と。
まめやの北川さんも同じことを。よその人の目線や感動が、自分たちでは気がつかない地域のよさに目を向けるきっかけになる。そして特に子ども達や村の若い世代が地域の文化に誇りを持てるようになると。
「ここはね、気候は温暖です。ほんで人間もね、おだやか。よく言えばおだやかだけど、まね、ぼーっとしてますわ。ははは。まあこれを機会にまたきていただければと思います。」と。
ほんわかおだやかな中西さん。ほんわかあったかい北川さん。
こんなお二人のような人たちがいる地域で子育てできたらきっと幸せだと思う。
特別何かすごいことがあるわけじゃないし、丹生の人たちもそれがすごいこととは思っていないと思うけど、私達からみたら、この“じんわりほんわかした何か”は、今の暮らしから感じられなくなったもの。
そして子ども達に伝えていきたいもの。
その“感じ”にじっくり触れてみたいし、丹生の人にもすごいものあるねって伝えたい。
北川さん、中西さん、ありがとうございました。
春になったら、まめやさんのご飯を食べて、黄色いボートで用水下りを体験しに行こう!
開催場所 |
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お問い合せ先 |
ええとこやんか三重 移住相談センター TEL 080-9512-5093 Mail mie@furusatokaiki.net
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